種無しぶどうの代表といえばデラウェアですが、最近は巨峰も種無しのものが増えてきました。
デラウェアも元々は種の有る品種です。どうやったら種が無くなるのでしょうか?
ぶどうの種を無くすにはジベレリンという植物成長調節剤を使います。
ジベレリンを使用したら偶然にもぶどうが種無しになったといわれています。昭和33年の話です。
これ以降一気に種無しデラウェアが広まったのですが、じつは巨峰のように大きなぶどうの方がジベレリンに反応しやすいことがわかりました。
巨峰のように大きな粒のぶどう(4倍体と呼ばれる)は“花振るい”しやすく、着粒不足のバラッとした房になりやすいのですが、
満開期に房をジベレリンに漬けると種無し化するだけでなく、着粒増加する効果もあって巨峰の仲間に利用され始めました。
巨峰、ピオーネと同じ仲間である“タカツマ”で種無し化の作業を見てみましょう。
20センチ以上もある長い大きなぶどうの花(花穂=かすい)の上部の蕾が咲いてきたら房作りをします。
上部の蕾を軸ごと落として、先端のわずか3.5〜4センチだけを残します。
残した蕾が満開になるとまるで線香花火のようです。
満開になったらジベレリン液に“線香花火”の先端を漬けます。
このようなカップを使用します。濃度はppm単位の極微量です。
液は漬けた房がどれか識別できるように食紅で赤い色を付けてあります。
うっかり漬け忘れや2度漬けのミスを防ぎます。
1回目のジベ漬けから10日後頃にもう一度ジベレリンに漬けると
果粒が大きくなります。
満開から約1ヶ月後の果房の様子です。
あの“線香花火”がこんなに大きくなっています。
種無しぶどうは安全なのか?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
ジベレリンはぶどうの種自体からも分泌される物質で、天然に存在する物質です。
ジベレリンは植物成長調節剤で植物ホルモンとも呼ばれますが、
動物のホルモンとは構造も異なります。
使用され始めてから半世紀以上が経ちますが、その安全性に問題は報告されていません。
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